中島哲也監督が、戯曲「MIDSUMMER CAROL ガマ王子vsザリガニ魔人」を映画化!

多彩なキャストと3DCGも見所の一つです

物語の舞台は、そう遠くはない昔のとある病院。己の才覚で一代にして莫大な財産を築いたものの、傲慢で粗暴な大貫(役所広司)は、病院内で「クソジジイ」と呼ばれる嫌われ者No.1。気安く声を掛けようものなら、「お前ごときが、私の名前を知っているだけで腹が立つ。気安く私の名前を呼ぶな!」という筋金入りの偏屈ぶり。

しかし、病院内の一癖も二癖もある患者は彼だけではなかった。子役として成功したが、大人の俳優に脱皮できず、人生の挫折を味わった室町(妻夫木聡)は、薬物依存症+自殺癖があるため入退院を繰り返している。

さらには、人命救助を生きがいにしながらも、消防車に轢かれてしまった消防士の滝田(劇団ひとり)。怪我は回復しているのに、賠償金を吊り上げるため入院を延長しているオカマの木之元(國村隼)、銃の暴発で入院を余儀なくされた極道の龍門寺(山内圭哉)、神出鬼没で空気が全く読めない堀米(阿部サダヲ)と、奇人変人ぞろい。

一方、彼らの治療を担当する病院スタッフも患者に負けじ(?)と、ドクロとバラのタトゥーを入れた不良看護師のタマ子(土屋アンナ)を筆頭に、金のためなら嫌われ者の大貫にも媚を売る「悪魔のような」看護師・雅子(小池栄子)、雅子の夫で大貫の甥である浩一(加瀬亮)、ピーターパン気取りで変装好きの医者・浅野(上川隆也)とこちらも変わりもの揃い。

そんな病院のなかで、唯一天使のような存在感を放つ少女がいた。彼女の名前はパコ(アヤカ・ウィルソン)。ある日、大貫は、ベンチに座って、絵本「ガマ王子対ザリガニ魔人」を読んでいるパコをちょっとした勘違いから腹を立て、殴ってしまう。しかし、翌日になるとパコは大貫に殴られたことを全く気にしていないかのように、大貫にニコニコ微笑みながら同じベンチで座っていたのだった…。

不思議に思う大貫だったが、パコは交通事故で両親を亡くした後遺症で記憶が1日しか保たない病を患っていたことを知り、長い人生で初めて涙を流す。そして、前日に彼女を殴ってしまったことを素直に謝ろうとパコの頬に触れたとき、彼女は「おじさん、昨日もパコのほっぺに触ったよね?」という。昨日の記憶がないはずの彼女が大貫のことを覚えていた。触ったんじゃなくて、殴ったというのに…。

パコと出会い、これまでの己の人生を大いに恥じ、反省した大貫は、残り少ない自分の人生で彼女の心に残るなにかをしてあげたいと思案にくれる。そして、病院で毎年行われる恒例のイベントで、彼女が愛読する絵本「ガマ王子対ザリガニ魔人」を舞台劇として再現することを思いつくのだった。

院内で自分勝手な振る舞いの限りを尽くしてきた大貫の唐突な心変わりと提案に患者や看護師たちは驚きを隠せなかったが、やがて納得して舞台劇に協力することを申し出る。大貫はガマ王子に扮して、その宿敵であるザリガニ魔人は室町が演じた。そして、メダカちゃん、ヤゴ、沼エビの魔女、アメンボ家来…。パコの目には、原作のキャラクターを忠実に再現した芝居は、絵本そのままに見える。

ガマ王子が死んだあと、雨が降って花が咲く…というラストシーンを迎えた公演の後、息を引き取ったのは大貫ではなくパコだった。事故以来いつ息を引き取ってもおかしくない状態だったのだ。みんなに見守られ、息を引き取るパコ。しかし、パコの胸の中には、大貫の祈りは花を咲かせていたのだった。

2004年に全国8都市で公演され、伊藤英明・長谷川京子の主演で話題となった舞台「MID SUMMER CAROL ガマ王子VSザリガニ魔人(作:後藤ひろひと・演出:G2)」を、「下妻物語」、「嫌われ松子の一生」など、カラフルで毒のある作品を放ってきた中島哲也監督が実写とフル3DのCG合成を駆使して大胆にアレンジ! 病院を舞台に、文字通り“病的”な人々が繰り広げるカオスなクライマックスが見どころ。

出演は、役所広司、妻夫木聡、上川隆也、阿部サダヲ、土屋アンナ、劇団ひとり、そしてオーディションで選ばれて本作が映画デビュー作となるアヤカ・ウィルソンほか。日本映画界を代表する豪華キャストだが、ほぼ全員がこれまでと全く違った役に挑んでおり、この点も大きな見所の一つとなっている。